Ⅰ財務マネジメントの基礎

１．財務マネジメントと会計･財務分野

　３つの会計･財務分野(財務会計･管理会計･企業財務）を財務マネジメントが総合的に束ねて、経営の３つの階層OST(Objective:目的、Strategy:戦略、Tactics:戦術)をサポートします。

２．財務マネジメントの4つの指導原理

①KKDDから経済合理性による判断
　 KKDD(勘と経験と度胸とドンブリ勘定）を排し、科学的な経済意思決定に基づく判断が必要です。経済合理性とは、経営数値に基づく合理的な有利選択をすることです。経済合理性の質問にチャレンジしてください。
■経済合理性質問■　最適案はどれですか？
　　プロジェクト　　　利益　　　確率
　　CASE　A：　　　１００　　　１０％
　　CASE B：　　　　８０　　　２０％
　　CASE C：　　　　４０　　　６０％
　　CASE　D：　　　　２５　　　８０％　　　　(解答は■QUIZ■　 □経済合理性を参照下さい）
②温故知新から未来先取型思考プロセス
　過去をいくら学んでもパラダイムシフトされた現代経営で正解を得るのは困難です。要は、経営環境が変わり、ビジネスルールが変わっているからです。したがって、将来を予測して未来先取型思考が財務マネジメントでは必要です。
③形式主義からプラグマティズムの実用主義
　従来の伝統的経営手法は、現在では陳腐化して役に立たない場合があります。それらを排し、プラグマティズム（Pragamatism）と言われる役に立つ手法を採用する必要があります。その1つが、当事務所が提案する、”微分・積分による経営意思決定”です。
④利益偏重からCSR型の複眼的視野
　21世紀の会社は儲ければ良いという利益偏重では、現代には通用しません。CSR(Corporate　Social　Responsibility：企業の社会的責任）即ち、経済･社会･環境の３Pをトリプルボトムラインとして、視野に入れ財務マネジメントする必要があります。

３．財務マネジメントの基礎編

　財務マネジメントの基礎として、財務会計分野の概要、簿記、PL、BS、CSと会計基準を理解します。初学者でなければ概要～BSまでは問題ないでしょう。財務諸表が読めると言う方も、意外とCS(Cashflow Statements：キャッシュフロー計算書)が不得手の方がいます。上場企業での最近の会計基準は、IFRS(International FinancialReporting Standards：国際会計基準)が話題の中心です。

４．財務マネジメントの応用編

　管理会計と一部企業財務分野の財務分析、企業税務、資金管理、予算管理、採算分析を理解します。財務分析が得意な方でも、企業税務が不得手の方は数多くいます。利益の３５％程度税金として納付する現状では、国際税務を含む企業税務の知識は不可欠です。採算分析では、管理会計定番の損益分岐点分析(Break EvenPoint Analysis)を、企業財務ではNPV（Net Present Value：正味現在価値）、IRR（Internal Rate of Return：内部利益率）、WACC（Weighted Average Cost of Capital)が登場するDCF法（Discounted Cash Flow Method）をマスターする必要があります。

5.財務マネジメントの演習編

　10の経営モデルは、簡単な財務シミュレーションです。実務で起こり得る10のパターン、標準モデルに始まり、黒字倒産、回収リスク、連鎖倒産、高金利苦戦、JIT、リストラ成功、デフレ倒産、創業利益、大競争苦戦モデルをシミュレーションとして財務疑似体験をします。企業価値では、WACC計算の後、将来のNPVにより非上場株式の株価を求め、当該企業の企業価値を演習します。

経営と財務マネジメントに関する4つの質問？
Q１：経営は「筋書きのないドラマ」か「科学的ゲーム」か？
　　しからば財務マネジメントは？

Q２：経営は「誰のため」に行うのか？
　　しからば財務マネジメントは？

Q３：経営は”Art”か”Science”か？
　　しからば財務マネジメントは？

Q４：経営の意思決定は「KKDD」か「経済合理性」か？
　　しからば財務マネジメントは？
　　
　　　　いかがでしょう？？？？

■　Ⅰ財務マネジメントの基礎　■